「どうしても触れたくない」は、ヨネダコウさんのデビュー作です。デビュー作とは思えないほどのクオリティで、BL好きな人の間では必ずと言ってよいほど話題に上る傑作です。

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どうしても触れたくないあらすじと感想

主人公は嶋俊亜紀(しま としあき)と外川陽介(とがわ ようすけ)の二人です。彼らは同じIT会社の会社員で、嶋が中途入社してくるところから物語は始まります。嶋は外川に前の彼氏の面影を見つつ、温厚な人柄に徐々に惹かれていきます。しかし嶋は、前の彼氏からひどい仕打ちを受け、もう同性は好きにならないと決意していました。しかし思いは止められず、お酒が入った席で外川と体の関係を持ってしまいます。いけないと分っていても、つい外川の姿を目で追ってしまう嶋の姿は非常に共感でき、あらがえない恋の強さを感じ取れます。

外川は最初、「自分を意識していてかわいいから」という軽い気持ちで嶋をかまっていましたが、嶋の外川に対する純粋な気持ちと、前の彼氏に対する複雑な思いを知るにつけ、彼のいじらしさに夢中になっていきます。

体の関係がだらだらと続いていたころ、嶋は「外川さんは俺にもうすぐ飽きるから」と自分の心情を友人に吐露していました。そのことを又聞きした外川が、嶋のかわいらしさに改めて気づき座り込んでしまうシーンはとても印象深く、忘れられません。

実は外川は、父親を交通事故で亡くし、後追い自殺しようとした母親が放った火事で弟を亡くし、最終的に母親も自殺で亡くしています。孤独な外川は家族に憧れており、それを嶋も知っていました。だからこそ、同性同士の不毛な関係は止めるべきだと、嶋は外川を説得しようとします。しかし外川は、そこで初めて嶋に「好きだよ」と告白するのです。望んでいた言葉を貰った嶋ですが、世間体と自分の保身のため、外川から離れることを決意します。二人は喧嘩別れになり、外川はそのまま京都へ転勤してしまいます。

このあたりの二人の衝突は、お互いを思いあっているからこそのすれ違いであり、大変もどかしいものです。二人とも、お互いと結ばれることが一番幸せであるにも関わらず、同性同士の恋愛の困難さに身がすくんで、相手の気持ちを推し量れなくなっていました。
外川さんが放った「俺に過去を恨めっていうのか」という言葉は、亡くなった家族の存在を理由にして外川さんを遠ざけた、嶋に対する批判の言葉でした。嶋は、家族を恨んでまで自分を愛そうとしてくれていた外川の気持ちに気づき、号泣します。そのシーンは、まるで絵画のように美しく、わたしも嶋と一緒に涙が止まりませんでした。
「どうしても触れたくない」は、登場人物が発する言葉のすべてが優しく、嶋と外川の気持ちを懸命に支える、素晴らしい作品です。